求人の原案をAIで作る ― ホールスタッフ募集文を作って分かった、載せてはいけない情報
この検証の結論
- 何を試したか
- 架空の勤務条件でホールスタッフ募集文の原案をAIに作らせ、載せてはいけない情報が混ざっていないかと、書くべき項目の抜けを、1項目ずつ点検しました。
- 判定
- 条件つき 原案の形は数分で作れました。ただし、そのまま載せると問題になる書き方が3種類混ざっており、出す前の点検は省けませんでした。
- 向いている店
- 募集文のたたき台が欲しい店。点検なしでそのまま掲載する使い方には向きません。条件が法令の例外に当たるかの判定は、ハローワークなどの窓口で確かめる前提です。
この記事で検証したこと
- 架空の定食屋・架空の勤務条件で、ホールスタッフ募集文の原案をAIに作らせました
- 出てきた原案を、求人として表に出してよい文かどうか、1項目ずつ確かめました
- 特に「載せてはいけない情報」が混ざっていないかに注目しました
先に結論です。原案の形は数分で作れました。ただし、そのまま載せると問題になる書き方が3種類混ざっていました。求人は「文の上手さ」よりも、「書いてよいこと」と「書くべきこと」の確認が本体だ、というのが今回の結論です。
この記事は、「飲食店がChatGPTを初めて使うなら、まずこの3つだけ」で試した3用途のうち、求人の原案だけを取り出して掘り下げたものです。このページでは、実際に使った依頼文と、出てきた原案の例まで載せます。
検証の条件
| 項目 | 設定 |
|---|---|
| 架空のお店 | 定食屋、席数18席、昼は近所の働く人、夜は常連が中心(すべて仮の設定です) |
| 募集の条件 | ホールスタッフ、週3日から、17時から21時30分まで、時給は架空の数字を設定(すべて仮の条件です) |
| 使った道具 | ChatGPT(ブラウザ版) |
| 入力した情報 | 上記の架空の条件だけ。実在のお店の求人や、店主・スタッフ個人の情報は入れていません |
依頼文(コピペで使える形)
検証で使った依頼文はこの形です。〔 〕の部分を自分の店の条件に差し替えて使えます。「守ること」の指定が曖昧だと、次の節で取り上げる問題の書き方が、そのまま原案に混ざってきます。
出てきた原案の例
原案に出てきた問題の書き方を集めると、冒頭はこのような形になります(架空の店を条件にした例文で、実在のお店の求人ではありません)。次の節で取り上げる問題の書き方が、短い文の中に3種類とも入っています。
【ホールスタッフ急募】若くて元気な女性歓迎!アットホームな職場です。まかない付き・交通費全額支給なので安心。未経験でも大丈夫です。お問い合わせは店主の携帯(090-XXXX-XXXX)までお気軽にどうぞ。
依頼文で「守ること」を明示しても、入力していない待遇の補完までは完全には止まらなかったため、出す前の点検は省けない、というのがこの検証の結論です。
原案に出てきて、外した・直したもの
1. 特定の人を指す・排除する書き方
原案には「若くて元気な女性歓迎」のような、性別や年齢で応募者を限る言い回しが混ざっていました。求人では、性別によって募集を分ける書き方は認められておらず、年齢で限る書き方も原則として認められていません(認められる例外は限られます)。この種の一文は、ただ外せば済む話ではなく、「どんな仕事をしてもらうか」を書き直すところからやり直しになりました。
2. 店にない条件の補完
入力していないはずの「まかない付き」「交通費全額支給」が、ある前提で書かれていました。良さそうに見える一文ほど危ない、というのが正直な感想です。条件は、店の実態にあるものだけを書く。ここは1項目ずつ、店の実態と照らし合わせるしかありませんでした。
3. 個人が分かる情報
連絡先の例として、個人の電話番号を書く形が示されました。求人に個人の連絡先を載せると、応募以外の連絡も含めて個人に直接届き続けます。応募の窓口は、店の代表番号や応募フォームなど、個人と切り離せるものにする方が安全です。
逆に、原案に抜けていた「書くべき項目」
求人には、賃金や労働時間などの労働条件を明示することとされています。ところが原案は「明るい雰囲気の職場です」のような言葉は埋まっているのに、明示が要る次の項目が抜けていました。
- 就業場所、始業・終業の時刻、休日
- 賃金の決め方と支払い方法、昇給の有無
- 雇用形態、試用期間の有無とその条件
- 加入する保険(雇用保険や社会保険は、勤務の条件によって加入が決まります)
「書いてはいけない情報」が混ざる一方で、「書くべき情報」が抜ける。この両方が同時に起きるのが、AIに求人の原案を作らせるときの注意点でした。
求人を出す前の点検リスト
- 性別・年齢で応募者を限る書き方がないか
- 店にない条件(まかない、交通費、手当など)が書かれていないか
- 個人の電話番号など、個人が分かる情報が載っていないか
- 賃金・労働時間・休日・保険など、明示が要る項目がそろっているか
- 「高収入」「楽な仕事」のような、あいまいな言い回しで条件をごまかしていないか
できなかったこと
- 自分の店の条件が法令の例外に当たるかどうかや、加入保険の細かい判定までは、この検証では扱えませんでした。出す前に、ハローワークや社会保険労務士など、確認できる窓口で確かめる前提です
- 原案の文面が応募数にどう影響するかも、下書きの検証では分かりません
関連する検証
出典(確認日:2026-11-04)
・厚生労働省:https://www.mhlw.go.jp/
・ハローワークインターネットサービス:https://www.hellowork.mhlw.go.jp/
・ChatGPT 公式サイト:https://chatgpt.com/
・検証に使った店舗条件と勤務条件は、すべて当サイトで作った架空のサンプルです
検証担当:タカハシ
飲食店の現場仕事をAIでどうにかできないか試しています。使えなかった検証も、そのまま書きます。